EXPDTN #34

私たちは、Cryo Hopのような濃縮ホップペレットや、Incognitoのようなホップエクストラクトをよく使っています。理由のひとつは「収率の良さ」です。一般的なT90ペレットは多くの水分を吸収してしまい、ホップダンプの際にはビールを大量にロスしてしまいます。ドライホップを多く行えば、その損失は何十リットルにも及ぶことも。健全なブルワリー経営のためには、避けたいところです。

もうひとつは「保管スペース」。CryoはT90比でおよそ倍の効きと言われ、必要な量が半分に。エクストラクトならさらに濃度が高く、冷凍庫ではなく冷蔵庫で保管できるメリットもあります。

そして最大の理由は「品質の安定性」です。T90ペレットはどうしてもバラつきがあります。大きなブルワリーであれば、期待を下回ったものはビタリングに回し、良いものだけをドライホップで、まぁまぁならばワールプールで、ということも可能ですが、私たちのような小規模ブルワリーでは選択肢が限られます。その点、濃縮ホップやエクストラクトでは足りないグリーン感をT90で補うことで風味を引き出すことができます。

今回の EXPDTN 34 では、ドライホップに使用したのは2024年産CitraのT90ペレット。ワシントン州の Double ‘R’ Hop Ranch で育成・加工されたもので、Yakima Chief Hopsの「2024 Top Cut Award」でLarge Farm部門のプラチナを受賞しています。小規模ブルワリーの私たちが手にできたのはまさに奇跡のよう。ドライホップ時にはブルワリー全体に華やかな香りが広がり、そのポテンシャルの高さに驚かされました。出来栄えは言うまでもありません。

EXPDTN 34は、私たちにとっても特別なバッチになりました。ぜひ多くの方に味わっていただければ嬉しいです。

今週末の土曜日、Craft Pub Brian Brew で開催するイベントでも、このバッチを開栓いただく予定です。ぜひお越しください。缶でお求めの際は LOT.034 の記載を目印に。

ABV: 6.0%
IBU: 20
Malt: Rahr 2-Row, Wheat
Hops: Mosaic (Incognito), El Dorado (Cryo), Citra
Yeast: Verdant IPA